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2031年「なにわ筋線」開業をにらむ南北の動き。大手私鉄2社はどう構える?南海は「通天閣」を子会社化

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走行中の南海空港特急「ラピート」
インパクトあるデザインが訪日客にも人気の南海空港特急「ラピート」。なにわ筋線用には新型車両の開発を検討中だ(写真:編集部撮影)

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大阪・関西万博が開幕する。2030年にはIR(統合型リゾート)が開業。都市再開発も盛り上がりを見せている。55年前の大阪万博をピークに産業基盤が細ってきた関西経済は、かつての勢いを取り戻せるのか。本特集では関西経済界の最前線に迫った。

大阪、そして関西地方の「空の玄関口」である関西国際空港。訪日外国人観光客でごった返す同空港は、大阪市中心部、とくに「キタ」と呼ばれる梅田方面からの遠さがネックの1つだ。

そのアクセスを改善する鉄道新路線の建設が進んでいる。2031年春の開業を目指す「なにわ筋線」だ。同線は市内中心部を南北に貫いて、大阪駅とJR難波駅、南海電気鉄道の新今宮駅を結び、開業後はJR西日本と南海の空港アクセス列車が乗り入れる計画だ。両社とも、大阪駅より北側ではすでに整備済みの線路を経由して新大阪駅まで直通し、新大阪駅と関空の間を約50分で結ぶ予定だ。

大阪市中心部を南北に貫くなにわ筋線と阪急の構想路線

なにわ筋線の南北で路線網を広げる私鉄にとっても、同線は大きなインパクトをもたらす。

「ミナミ」の中心、難波にターミナルを構える南海にとってはキタに進出する好機となる一方、本拠地を「素通り」される懸念があるため、難波の魅力を高める戦略を練る。他方、キタの中心地・梅田を拠点とする阪急電鉄は、なにわ筋線に接続する新路線の構想を描く。

新今宮を第2の拠点に

「難波、ミナミでインバウンドの方々が何しているかと考えると、道頓堀のグリコの看板で写真撮って、たこ焼き食べて……それだけだと1回来たら2回目はないやろ、というのがわれわれの問題意識」。南海が難波エリアで進める開発計画「グレーターなんば」構想を担う、同社まち共創本部グレーターなんば創造部長の寺田成氏は、ユーモアを交えてそう語る。

念頭にあるのは、なにわ筋線開業によって、関空から訪れた訪日客らが難波で下車することなく梅田方面へ直行(素通り)してしまう懸念だ。同線が現在の難波駅には乗り入れず、地下の新駅を経由する故だ。

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