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なおも赤字から抜け出せない「地銀系証券」の焦燥、東邦銀行が野村証券と業務提携を結んだ裏に「3期連続赤字」の不振

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東邦銀行
東邦銀行は7月に証券子会社の解散を決め、今後は野村証券と共同で証券業務を行う(記者撮影)

地方銀行系列の証券会社が、また1つ姿を消す。7月29日、福島県を地盤とする東邦銀行は子会社の「とうほう証券」を解散すると発表した。

同行は昨年7月、野村証券と金融商品仲介で包括業務提携を結んだ。とうほう証券の顧客口座の権利義務を野村証券が承継し、今後の証券業務は東邦銀行と野村証券が共同で行う。

「本提携が最適な手法であるとの認識に至りました」。当時の発表文では、県内に顧客基盤を抱える東邦銀行と、金融商品販売のノウハウや豊富なラインナップを有する野村証券が手を組み、顧客の資産運用を支援する意義が強調された。

だが、証券子会社の解散は前向きな理由ばかりではなかった。

継続前提に重要事象

「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております」。とうほう証券の2025年3月期の財務諸表に、穏やかではない一文が挿し込まれた。同社は2023年3月期以降、3年連続で最終赤字に陥ったことで企業経営に黄信号が灯っていた。

とうほう証券の2025年3月期の財務諸表
証券子会社の経営不振が、野村証券との提携の一因となった(記者撮影)

重要事象の後には、さらに次の一文が続く。「予め当該状況に対応する事を目的に、2024年7月26日親会社である株式会社東邦銀行と野村證券株式会社とによる金融商品仲介業務における包括的業務提携に関して三社間で最終契約を締結しております」。とうほう証券の経営不振が一因となり、野村証券との提携を決めたという。

一連の記載に対して、東邦銀行の広報担当者は「(とうほう証券の経営不振が)すべてではないが、一つの要因にはなった。単独での黒字化も検討したが時間がかかる。サービスの高度化など、前向きな要因も加味して野村証券との提携を決めた」と回答した。

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