2024年3月期決算で、全国の地方銀行99行のうち、8行は本業利益が赤字だったことがわかった。さらに3分の1にあたる33行は、前期比で本業利益が減益となった。
本業利益は、金融庁が2016年9月に公表した「平成27事務年度 金融レポート」の中で用いられた。貸出金利息や手数料収入の合計から、経費を差し引いて算出する。有価証券の運用益を排除することで、融資や資産運用、地元企業の経営支援といった地域金融機関の本来的なミッションで稼げているかの物差しとなる。
当時のレポートで、金融庁は4割の地銀が「本業赤字」に陥っていると指摘。さらに2025年3月期には、本業赤字の割合は6割にのぼると警鐘を鳴らした。
以降、地銀は貸出残高の増加や手数料ビジネスの展開、経費削減を通じて本業収益のテコ入れに邁進。2023年3月期には、本業赤字の地銀は14行にまで減った。
2024年3月期は8行が「本業赤字」
では、最新の状況はどうか。東洋経済は全国の地銀の2024年3月期決算を基に、本業利益を算出。全国99行のうち8行が「本業赤字」に陥っていた。前期比で本業利益が減益となった地銀は33行。利ザヤの低迷に加え、賃上げやデジタル化で経費が増えたことが要因だ。
ワースト1位は長野銀行。2023年3月期も8.7億円の赤字だったが、2024年3月期は赤字額がさらに拡大した。
同行は2026年に県内トップの八十二銀行との合併を控えている。重複エリアを中心に40店舗以上を統廃合する計画で、経費削減を加速させる。
2位は石川県の北國銀行。2023年3月期は2億円の黒字を確保していたが、一転して本業赤字となった。システム費用の膨張や、採算性重視による貸出残高の目減りが響いた。
今後、国内金利が上昇すれば預金調達費用がかさむ。貸出金利を引き上げて利ザヤを確保できるか、「価格転嫁力」も本業利益の行方を占う。