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〈不可解な変化〉EUがワシントン条約へニホンウナギの掲載を提案!水産庁は「資源は回復傾向にある」と強調するが、専門家からは疑問の声も

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EUによるウナギ属全種のワシントン条約の掲載提案の動きついて、小泉進次郎農林水産大臣は「十分な資源量が確保されている」と強調した(写真:つのだよしお/アフロ)

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「ニホンウナギについては十分な資源量が確保されていることから、国際取引による絶滅のおそれはありません」――。

6月27日、小泉進次郎農林水産大臣は記者会見で強調した。

この会見前、欧州連合(EU)はウナギ属全種についてワシントン条約への掲載を提案した。主に日本で親しまれているニホンウナギについて、絶滅のおそれがあり資源量が著しく減少していると主張している。

これに対し、水産庁は「資源評価の結果では、1990年以降資源は回復傾向にある」と真っ向から反論している。

水産庁に向けられた、ある「疑い」

ただ、こうした行政側の主張が物議を醸している。水産庁が長年取ってきた立場を突如一転させたとも捉えられる発言だからだ。

ニホンウナギは、適切な管理などを目的に資源評価を行う「国際漁業資源」に位置付けられている。水産庁の委託を受けた国立研究開発法人 水産研究・教育機構は、調査結果の公表のため毎年3月に『国際漁業資源の現況』という報告書を公開している。

2024年3月版まで、この報告書には毎年「シラスウナギ(ニホンウナギの稚魚)の採捕量は変動があるものの、現在の我が国への来遊状況は長期的には低水準かつ減少基調にあると考えられる」との表記があった。2025年3月の最新版では内容に変更が加えられているものの、従来と類似した記述が見られる。

つまり、水産庁は今年3月まで一貫して「我が国への来遊状況は長期的には低水準かつ減少基調にある」としてきた。一方、6月にはニホンウナギの資源量が十分に確保されているとの主張を表立って始めたことになる。

ウナギの保全や資源管理に詳しい中央大学の海部健三教授は「水産庁はこの3カ月の間に立場を一転させたように見える」と指摘する。

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