日本の漁業が「自滅」に向かっていく根本原因 資源管理制度の不備が原因で魚はもっと高額に…

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(写真:筆者提供)

サケ、スルメイカ、シシャモ、ハタハタをはじめ、魚が獲れないという報道を耳にしない年はありません。全国主要漁港の上位10港における水揚げ数量の合計は前年比9%減となっており、2024年度の水揚げ量は、同じ形で統計を取り始めた1956年以来の過去最低数量をさらに下回る見通しです。しかも恐るべきことに、過去最低記録の更新は毎年続いてしまっています。

世界の水産物生産量(漁業+養殖)の日本の順位は、2022年時点で12位まで下がり続けています。1970年代から80年代の約20年にわたって世界1位を長年維持してきたかつての姿はありません。一方で、対照的に世界全体の水産物生産量は、毎年過去最高を更新し続けています。

魚の価格がさらに高くなっていく

こうした状況は、すでにわれわれが日常食べている魚の供給や価格にも大きく影響しています。輸入に関しては、世界全体の需要量が人口増加とともにタイトになることが確実です。このため、自国の水産資源管理の制度を持続可能なものに早急に変えていかねばなりませんが、すでに多くの魚種で危険水域に達しています。SDGs14(海の豊かさを守ろう)の目標からどんどん離れています。

このままでは国内漁獲量が減少して供給量が減り、まず魚の価格がさらに高くなります。そして、これまで価値が低いとされてきた小さな魚でも価格が高くなっていきます。サヨリのように細いサンマが高い値段で販売されていけば魚離れも起きてきます。ただしその原因は、輸入水産物が国際需要の増加による価格上昇とは状況が異なり、わが国の場合は資源管理制度の不備がもたらす自滅です。

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