〈上場廃止へ〉業績低迷の日本調剤を投資ファンドが1000億円超で買収、期待される2つの改善ポイント・・・目先の課題は競合に劣る「稼ぐ力」の底上げ

「非公開化に向けた入札プロセスを開始した」と報じられて3カ月余り。ようやく1つの結論を出すに至った。
調剤薬局業界で売上高2位の日本調剤は7月31日、株式を非公開化すると発表した。投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(以下、AP)がTOB(株式公開買い付け)を実施し、全株取得を目指す。買収総額は約1178億円。日本調剤は買収に賛同し、ほかの株主に対して応募への推奨を示した。
TOBの期間は8月1日から9月16日まで。買い付け価格は1株につき3927円で、発表された7月31日時点の終値(3515円)を11.7%上回る。買い付け予定数は自己株を除く株式全体の80.5%(2414万6179株)。下限は46.9%(1407万8200株)で、上限は設定されていない。
創業家が保有する約6割の株式のうち、個人保有分はTOBに応募。その後、資産管理会社の持ち分はAPに譲渡する。TOBが成立した後、2025年11月上旬に臨時株主総会を開催し、株式併合によって少数株主の持ち分をすべて強制的に買い上げる「スクイーズアウト」を決議する。
直近は業績が低迷していた
日本調剤は6月末時点で全国各地に760店舗の薬局を運営。店舗のうち、大きな病院の前の「門前薬局」や病院の中の「敷地内薬局」が全体の約6割を占め、専門性の高い薬剤師を多く抱えていることが強みだ。
ただ、直近は業績の低迷に陥っている。特に2024年は薬価の引き下げや主力にしている大きな病院前の「門前薬局」に不利な調剤報酬の改定によって調剤事業の採算が悪化。さらに第2の収益源となっている医薬品製造販売事業でも子会社の工場で製造管理上の問題が発覚し、一部の生産がストップしたことも大きな痛手になった。
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