〈もがく老舗〉大手眼鏡チェーン「パリミキ」が創業家によるMBOで構造改革へ。かつての王者は利益がピークから大幅縮小…復活の目はどこにあるのか
メイン顧客の高齢者層が縮小し、販売は苦戦。安さを求める消費者と付加価値を求める層へと二極化も進む。ロープライスの眼鏡チェーンが台頭し、海外は10年以上赤字が続く。実に厳しい現状だった。
眼鏡チェーン大手、パリミキホールディングスがMBO(経営陣による買収)を打ち出した。創業家側が11月13日から12月25日までTOB(株式公開買い付け)を実施。TOB価格はMBOを発表した11月12日の終値391円に約48%のプレミアムを付けた1株581円で、買収総額は159億円だ。
パリミキは業績が長期で低迷していた。今後、店舗の統廃合や商品施策の見直し、海外事業の再編、本社機能のスリム化などを実行する。構造改革を進めるうえで、業績の悪化や株価の下落が見込まれるため、MBOを選択したわけだ。
過半の持分を保有する創業家が主導
創業家出身の多根幹雄会長が代表を務める資産管理会社・ルネットが買い付けを進め、多根会長はTOB成立後も経営に当たる方針だ。ルネットはパリミキ株の45.07%を保有する親会社。このほか、創業家関係者(今回のTOBには応募しない)は7.89%を保有している。
TOBの買い付け予定数の下限は13.71%に当たる798万2900株。創業家側の議決権を3分の2以上とすることで、その後、株式併合などスクイーズアウト(少数株主からの株式強制取得)を着実に実行する流れだ。
パリミキの大株主には、2025年3月時点で13.81%を保有するルックスオティカグループが名を連ねる。イタリアの眼鏡フレームメーカーで、世界最大のアイウェア企業・エシロールルックスオティカの傘下だ。
直近の変更報告書は24年6月6日に提出されている。傘下の福井めがね工業と合わせて13.64%、764万株を保有し、目的は「長期純投資」としている。ルックスオティカは20年から出資し、福井めがね工業はそれ以前から取得していたようだ。両社の保有分を合わせると、1株当たり357円程度で取得している計算になる。
ルックスオティカが対抗策を打ち出す可能性はゼロではないが、創業家側の持ち分は過半を超えており、対抗TOBなどの現実味は薄い。なお、ルックスオティカ側に今回のMBOへの対応について質問を送ったが、11月19日までに回答はなかった。




















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