12月18日、アメリカの投資ファンド・ベインキャピタルは富士ソフトにTOB(株式公開買い付け)を行うと発表した。これに先立つ17日、富士ソフトの取締役会はベインの買収提案に反対を表明しており、いわゆる「同意なき買収」に発展した。企業価値の向上の手助けをするファンドが、経営陣と対立する同意なき買収に踏み切ることは異例だ。
富士ソフトをめぐっては、同じ投資ファンドのKKRがすでにTOBを進めており、会社側の取締役会もKKRの買収提案に賛同している。一方、ベインは独自の買収提案を働きかけ、富士ソフト創業家などはベイン案を支持している。両ファンドによる争奪戦は、着地点が見えないまま越年することとなった。
KKRのTOBを阻止へ
「KKRのTOBを潰しにかかろうと、このタイミングで発表してきたのだろう」。ある投資ファンド関係者は話す。
ベインに先立って富士ソフトの非公開化を進めるKKRは、手続きに必要な3分の2以上の議決権の確保を目指してきた。すでに1回目のTOBを終え、アクティビスト(モノ言う株主)などが保有していた富士ソフト株を33.86%確保した。
11月20日からは2回目のTOBを進めており、1回目と合わせて53.22%以上の株式の取得を目指している。ここに、TOBには応じないものの非公開化には賛同するであろうパッシブファンドを加えて、3分の2のハードルを越える算段だ。
同じく富士ソフトの買収を目論むベインは、今夏から独自の買収提案を示してきたが、会社側の態度は煮え切らなかった。しびれを切らしたベインは12月11日、ひとまず足元で進んでいるKKRのTOB成立を阻止すべく、それまで1株9450円としていた買い付け価格を9600円に引き上げた。KKRの買い付け価格である1株9451円に大差をつけることで、投資家にTOBへの応募を躊躇させた格好だ。
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