創業95周年の老舗眼鏡チェーン「パリミキ」が創業家によるMBOで構造改革へ。ピークから利益は大幅縮小…"かつての王者"は復活できるのか
メイン顧客の高齢者層が縮小し、販売は苦戦。安さを求める消費者と付加価値を求める層へと二極化も進む。ロープライスの眼鏡チェーンが台頭し、海外は10年以上赤字が続く。実に厳しい現状だった。
眼鏡チェーン大手、パリミキホールディングスがMBO(経営陣による買収)を打ち出した。創業家側が11月13日から12月25日までTOB(株式公開買い付け)を実施。TOB価格はMBOを発表した11月12日の終値391円に約48%のプレミアムを付けた1株581円で、買収総額は159億円だ。
パリミキは業績が長期で低迷していた。今後、店舗の統廃合や商品施策の見直し、海外事業の再編、本社機能のスリム化などを実行する。構造改革を進めるうえで、業績の悪化や株価の下落が見込まれるため、MBOを選択したわけだ。
過半の持分を保有する創業家が主導
創業家出身の多根幹雄会長が代表を務める資産管理会社・ルネットが買い付けを進め、多根会長はTOB成立後も経営に当たる方針だ。ルネットはパリミキ株の45.07%を保有する親会社。このほか、創業家関係者(今回のTOBには応募しない)は7.89%を保有している。
TOBの買い付け予定数の下限は13.71%に当たる798万2900株。創業家側の議決権を3分の2以上とすることで、その後、株式併合などスクイーズアウト(少数株主からの株式強制取得)を着実に実行する流れだ。
1930年創業の老舗の苦戦は、明確に数字に表れている。全盛期だった02年3月期(当時は三城)は、売上高839億円、営業利益155億円と、営業利益率18%をたたき出す優良企業だった。この年には海外100店舗も達成している。

しかし、同時期にフレームが1万円などの低価格業態が増殖し始め、06年にはレンズ・フレームのセットが1万8900円の「眼鏡市場(めがねいちば)」がヒットし、シェアを獲得していく。00年代はジンズホールディングス「JINS」、インターメスティック「Zoff」など、レンズ・フレームで1万円を切る低価格ショップも登場し、競争は一気に過熱していった。



















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