創業95周年の老舗眼鏡チェーン「パリミキ」が創業家によるMBOで構造改革へ。ピークから利益は大幅縮小…"かつての王者"は復活できるのか

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パリミキは売上高を伸ばせず、利益率も低下していく。リーマンショックの影響を受けた09年3月期は赤字に転落。これ以降、小幅の黒字と赤字を行き来する決算が続いた。25年3月期の売上高は507億円、営業利益は13億円にとどまっている。

背景には後発チェーンとのビジネスモデルの差異がある。

パリミキは福井・鯖江産などの自社ブランドもあるが、レイバンやポリス、エンポリオ アルマーニなど、有名ブランドの商品をきっちり仕入れて並べることも重視している。国家検定資格である眼鏡作製技能士の人数は業界トップクラス。補聴器も重要な商材だ。

一方、01年に眼鏡に参入したジンズは、フレームを自社で企画して海外で製造、直営店で販売するSPA(製造小売業)モデルだ。問屋や商社などの中間マージンを省き、自社でブランドを育成してきた。

経営体制を維持したまま変革できるか

ジンズも出店戦略の失敗など浮き沈みを経験したが、25年8月期には売上高972億円、営業利益は120億円まで成長した。一式単価は1万2039円で、粗利率は78%だ。ジンズと同じくSPAモデルで展開するインターメスティックも、粗利率は75.2%(24年12月期)と高い。

パリミキの単価は3万3157円(25年3月期、金鳳堂を除く)とジンズより高いが、粗利率は68%と10%下回っている。単にどちらのモデルが優れているという話ではないが、顧客のニーズが「より手軽に眼鏡を買いたい」という方向へ、変わり続けていることは確かだろう。

復活は険しい道になる。ジンズHDは次世代トップの下で「単一ブランドで世界一を目指す」(田中亮COO)と宣言、国内のシェア獲得に絶対の自信を持つ。インターメスティックはアンバサダーに目黒蓮(Snow Man)を起用し、強力な販促を仕掛ける。「メガネスーパー」運営会社も買収し、勢いに乗っている。

パリミキは経営体制を変えずに、どうブランド、店舗、会社を変えていくのか。MBO後も、老舗チェーンにとって生き残りを懸けた勝負が続く。

パリミキの創業家以外の大株主の動向や、同社がこれまで進めてきた改革などについて触れた本記事の詳報版は、東洋経済オンライン有料版記事「〈もがく老舗〉大手眼鏡チェーン「パリミキ」が創業家によるMBOで構造改革へ。かつての王者は利益がピークから大幅縮小…復活の目はどこにあるのか」でご覧いただけます。
田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

コンビニ担当や投資雑誌編集部、通信、メディア、観光、食品、物流などを経て現在は音楽や眼鏡、靴、雑貨関連を取材。

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