"星野リゾート"と全く異なる戦略で大成功の温泉旅館!社長が語る"非効率"貫く経営の勝算とは

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仲居は完全担当制。非効率を貫くワケとは(写真:浜の湯提供)
日本各地でホテルや旅館を運営する星野リゾートは、経営危機に直面した多くの旅館を蘇らせてきたが、そこに危機感を持つ一人の旅館経営者がいる。昔ながらの“仲居の完全担当性”を今も守り、リピーターが全宿泊客の5割以上を占める伊豆・稲取温泉の老舗旅館「浜の湯」の鈴木良成社長は、著書『食べるお宿浜の湯 おもてなしの神髄』の中で、「効率性を重視する運営スタイルが広まるなかで、伝統的な旅館文化の価値が失われかねない」と、その潮流に独自の視点を投げかける。

旅館のサービスの効率化が進むなかで

近年、ホテル・旅館業界では「効率化」という言葉が合言葉のように使われています。フロント業務の自動化や食事サービスの簡素化は、確かに人手不足が深刻化する時代において合理的な選択肢といえるでしょう。しかし一方で、こうした効率化の流れが、旅館特有の文化や価値を失わせる恐れがあります。

本来、旅館にはホテルとは異なる独自のサービス形態がありました。その象徴が「仲居の完全担当制」と「料理のお部屋出し」です。仲居が宿泊客を到着からお見送りまで一貫して担当し、食事はお部屋で料理を一品ずつお出しする。こうしたスタイルにより、単なる宿泊を超えた「旅館体験」を提供してきました。ところが今、効率化の名のもとにその文化が薄れ、旅館とホテルの境界が曖昧になりつつあります。

旅館業界全体にとって、これは小さくない危機です。なぜなら、旅館が旅館である理由が失われてしまえば、ホテルなど他の宿泊施設との差別化ができなくなり、やがて市場から淘汰されてしまうからです。

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