"星野リゾート"と全く異なる戦略で大成功の温泉旅館!社長が語る"非効率"貫く経営の勝算とは
効率化の流れを否定するつもりはありません。むしろ、多様な旅館運営のスタイルが存在してよいと思います。問題なのは、すべての旅館が効率化の方向に流れてしまうことです。効率化一辺倒になれば、旅館の個性は失われ、大手資本に吸収される未来しか残りません。
旅館が生き残る道は、むしろ「非効率」の中にあります。非効率を恐れず、旅館らしい個性を磨くこと。お客様が「ここでしか味わえない」と感じる体験を提供すること。それがブランド化につながり、将来的にはインバウンド客に対しても「日本に来なければ体験できない旅館文化」という強力な資産になるはずです。
日本文化を未来に継承する
旅館文化を守ることは、単に一つの業態を残すことではありません。日本文化そのものを未来に継承する営みです。建物の造り、料理、接客、しつらえ――旅館には日本人の美意識と生活文化、おもてなしが凝縮されています。
前述したように、最後のお見送りで、お客様が仲居に駆け寄り、涙ながらに感謝を伝える光景は、旅館ならではの光景です。そうした体験を提供する場を次世代に残すためにも、旅館業界全体で「非効率の価値」を見直し、勇気を持って実践することが必要だと思います。
私たちは、自らの取り組みを発信し、他の旅館経営者に影響を与える存在でありたいと考えています。かつて仲居の完全担当制や料理の部屋出しを諦めた旅館が、「もう一度挑戦してみよう」と思い直すきっかけになれるように。そうした旅館が1軒、2軒と増えていくことで、日本の旅館文化は再び強固なブランドとして世界に誇れるものになるはずです。
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