30年前は大繁盛も「現在は全国に8店舗」の《元気寿司》衰退の背景にあった"回転ずしのファミレス化"と"デフレの波"とは?

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元気寿司
現在は全国に8店舗の「元気寿司」。写真は茨城県の青柳店(写真:筆者撮影)
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回転ずしチェーンの『元気寿司』が、およそ15年ぶりに新店舗を出すーー。
そんな噂を聞きつけたものの、初めは食指が動かなかったのは、そもそも元気寿司に馴染みがなかったからだ。それもそのはず、元気寿司は関東近県に8店舗(栃木・茨城・福島の3県、2025年9月末時点)しか存在しない。近くに住んでいない限り、なかなか来店する機会はなさそうだ。
しかし30年前の1990年代は、元気寿司は回転ずしチェーン業界で大きな存在感を放っていた。スシローやくら寿司より早い1968年に創業し、業界を牽引する存在として成長。1990年代後半には120~130店舗を展開していた。
その全盛期からはや四半世紀、9割以上の店舗を畳んだ憂き目に遭いながらも、いま改めて新店舗開業に踏み切るという。
栄枯盛衰が常の飲食業界。元気寿司の興亡には、どのような背景があったのかーー。店舗の現地レポートと幹部取材から探った。

寿司8皿とサイドメニュー1皿で「会計は1410円」

都内から電車とバスを乗り継いで約2時間、片道1500円近くをかけて辿り着いたのは『元気寿司 青柳店』だ。最寄の取手駅から約2km離れた、県道沿いに位置する店舗は、ざっと40坪とコンパクトに映る。

『元気寿司 青柳店』の外観
『元気寿司 青柳店』の外観(写真:筆者撮影)

入店すると、席数も50に満たないほどとこぢんまりした造りだ。店舗の中央に板前が構え、その周りを取り囲うように回転レーンが敷かれている、いわゆる「島式」のレイアウトもどこか懐かしさを覚える。

『元気寿司 青柳店』の内観
『元気寿司 青柳店』の内観(写真:筆者撮影)

とはいえ回転レーンは稼働しておらず、注文はタッチパネルで行うようだ。人気どころに照準を合わせつつ、『えびマヨ(税込130円、以下同)』『大切りまぐろ(130円)』『サーモンペッパーマヨ炙り(130円)』などを頼む。

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