30年前は大繁盛も「現在は全国に8店舗」の《元気寿司》衰退の背景にあった"回転ずしのファミレス化"と"デフレの波"とは?

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運営元としても、大手の潮流に追随すべく、大型店かつ100円均一の新業態を立ち上げていく。元気寿司の衰退と入れ替わるように、1999年には100円均一の『すしおんど』を、2009年からは現在のメインブランドに成長する『魚べい』を立ち上げる。

「元気寿司は創業当初から、郊外のロードサイドというより、駅前などの立地重視で小型店としての展開を続けていた。小型店であれば当然、大型店への業態転換も難しく、2000年代以降は不採算店舗を閉める流れが続いた」と大塚氏。

新店舗を出す際も、業績が好調だった魚べいの屋号を採用する経営方針のもと、元気寿司は減少の一途を辿る。魚べいを展開し始めた2010年頃を境に、元気寿司は新規出店が途絶え、現在の8店舗へと至る。

上野の一等地に、約20年ぶりの新店舗

元気寿司が大量閉店の憂き目に遭った背景は、店舗レイアウトや出店エリアといった副次的な要因が大きい。一丁目一番地であるすしのクオリティーを担保しても、導線や使い勝手を確保しなければ、客足が他社に流れてしまう証左とも言える。

一通り注文を平らげ、空皿をバッシングしにきた店員に話しかけると、現在はメニューや注文方式など運営方針を魚べいブランドに揃えていると話す。言い換えれば、タッチパネルの操作音が響くこぢんまりとした店舗規模や、稼働していないまま残置された回転レーンが、いまや元気寿司の希少なレガシーとなっている。

最盛期から30年弱、元気寿司はすっかり時代から取り残された……。そう思いきや、冒頭の通り、元気寿司は2025年10月10日に、上野の一等地に新店舗を構える(正確には魚べいブランドとの融合店)。

後編『店舗激減の「元気寿司」静かに大復活の意外な理由』では、新規出店が途絶えた空白期間に焦点を当てつつ、久々に新店を構える経緯や勝算を詳報する。

佐藤 隼秀 ライター

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さとう はやひで / Hayahide Sato

1995年生まれ。大学卒業後、競馬関係の編集部に勤め、その後フリーランスに。趣味は飲み歩き・競馬・読書

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