注文ボタンを押すと、「ピロリロリン」という電子音が鳴り、板前が律儀に「ありがとうございます」と反応して寿司を握る。機械から出てきたシャリに、冷蔵庫からネタを取り出して、手際良く数十秒で完成品を直接渡してくれる。大手チェーン店に常設された、完成品を客席まで届ける高速レーンもなく、アナログな側面が垣間見える。
来店時はアイドルタイムの16時ごろで、先客は3組ほど。これなら直接注文するのと変わらないのでは……と思いつつも、揚げ物やサイドメニューは店内奥の厨房で調理しており、タッチパネルもそれなりに貢献しているようだ。

こぢんまりとした店内とは裏腹に、届いた寿司ネタはどれも大ぶりだ。
『大切りまぐろ』はシャリからはみ出る大きさで、『とろさばの押し寿司(150円)』は身が2~3cmほどと分厚い、お子様メニューの定番『ハンバーグ(130円)』は直径ゴルフボールほどだ。クオリティもそれ相応の水準で、創作メニューの『げそ明太マヨ炙り(140円)』は、素材が喧嘩せずに溶け合い、思わずおかわりした。




そして、お分かりのように、全体的に価格がお手頃だ。いまや大手チェーンでは1皿200円超のメニューも常設されるなか、『元気寿司 青柳店』ではフェア商品とデザートを含むサイドメニューを除き、すべてが1皿200円以内に収まる。
結局、にぎりと軍艦合わせ8皿に、『明太マヨポテト(300円)』を注文し、会計は1410円。2025年3月にマルハニチロが公表した「回転寿司に関する消費者実態調査」によれば、1人あたりが支払う平均額は「男性2214円/女性1667円」とある。郊外という立地を加味しても、コスパに長けて満足度が高い。

では、なぜ元気寿司は、最盛期の100店舗以上から、8店舗まで縮小を迫られたのかーー。
衰退の理由は「コの字型のカウンター」
その主な要因に、前述した「店舗の小ささ」が関係している。衰退の過程を明らかにするため、まずは元気寿司の沿革を振り返りたい。
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