
遠い過去に思えるほど、コロナ関連の報道を聞く機会が減った一方で、いまだに飲食業界は、コロナ禍の余波を受けている。その顕著な弊害が「深夜営業の行き詰まり」だ。
海鮮系居酒屋の大手「はなの舞」では、コロナ禍以前は全店の8割近くが深夜営業を行っていたが、現在は約1割までに撤退。店舗数も最盛期の370店舗から、2025年8月31日時点で93店舗まで、ピーク時の4分の1近くに減った。
栄枯盛衰が常で、外的環境にも影響を受けやすい飲食業界。はなの舞の変遷からは、いまなお残るコロナ禍の爪痕、そして水面下で変化した世間の行動様式がうかがえた。
超一等地でも22時半にラストオーダー
8月下旬の21時ごろ、新宿駅西口直結の商業複合施設内にある「はなの舞」新宿駅西口パレット店を訪れると、席数の7割近くをサラリーマンやOLが埋めていた。場所柄もあり、平日も3~4人組のビジネスパーソンでにぎわいを見せるなか、早めに帰り支度をする卓が散見される。
22時が近づく頃には、店内客の半数以上が退店を済ませ、新規客が入れ替わる様子もない。それもそのはず、22時半には料理とドリンクのラストオーダーの案内があり、23時までに退店を促される。ターミナル駅直結の立地でも、平日は深夜営業を行っていないようだ(店舗ホームページでは金・土・祝前日は翌4時まで営業)。
はなの舞を運営するチムニーによれば、はなの舞で深夜営業を続けているのは、現在1割程度にとどまっているという。コロナ禍以前は、全店舗の約8割が深夜営業を行っていたものの、今は収益が上がらず営業を早めに切り上げている。
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