『果てしなきスカーレット』の大コケと『国宝』の興行収入記録更新が示唆する「テレビ局と日本映画の幸せな時代」の終焉

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スカーレットとTOKYOタクシー
観客動員では『TOKYOタクシー』(中央)などの後塵を拝した『果てしなきスカーレット』(右)。この状況は日本映画にとって“1つの時代”が終焉したことを象徴しているのかもしれない(写真:編集部撮影)

11月25日、映画『国宝』が新たな記録を打ち立てた。2003年の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』が22年間守ってきた実写邦画の興行収入記録を塗り替え、1位になったのだ。このニュースに世間が沸いた。

一方で、同日は別の映画関連のニュースで世間がざわついた。細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』の興行成績も発表されたからだ。

『スカーレット』の観客動員数は『TOKYOタクシー』『爆弾』に続く3位で、興行収入は金曜日からの4日間で2億7000万円。普通の映画であれば悪くない数字だが、細田守作品としてはかなり物足りない。

細田監督の前作『竜とそばかすの姫』は21年7月に公開され、3日間で興収8億9000万円と好スタートを切った。まだコロナ禍に苦しめられていた映画業界で、最終興収66億円をたたき出した。それと比べると、新作は“コケた”といっていい。

映画のヒットにテレビ局の力はいらない

『国宝』の記録更新と『果てしなきスカーレット』の不発。この3連休に起きた2つの出来事をつなぎ合わせ、私は痛切に感じた。もう映画のヒットにテレビ局の力はいらなくなったのだ、と――。

昨年10月、『踊る大捜査線』シリーズ久々のスピンアウト作品『室井慎次 敗れざる者』が公開された際、私は「『踊る大捜査線』が日本の映画興行に起こした革命」と題した記事を書いた。

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