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日本の基礎研究力が危ない!(下) 「選択と集中」の弊害、研究に必要な機器さえ更新できない地方国立大の窮状

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文部科学省も地方国立大学の地盤沈下に危機感を抱き始めた(写真:i-flower/PIXTA)
科学や科学技術は、その時々の社会や政治、経済の影響を直接受けることもあれば、社会に変革(時には事件や事故)をもたらすこともある。本連載では、そのリアルな姿を通して今の時代を読み解いていく。

実験系の研究者を取材すると、研究設備や機器類を自ら紹介してくれることがよくある。さまざまな機器が所狭しと並ぶ室内を案内しながら、一つ一つの機器の役割や機能を説明してくれるのだ。時にはその機器がいかに高額で、購入資金をどう確保したかにまで話が及ぶ。

本連載では、科学や科学技術のリアルな姿を通して今の時代を読み解いていく

研究者にとって、設備や機器が研究に欠かせないインフラであることを実感する時間だ。

ところが、そうした研究基盤がいま危機的な状況に陥り、日本の研究力低迷の大きな要因になっている。これもまた、前回の記事で紹介した運営交付金の削減や過度な「選択と集中」の結果だ。

筆者が新聞記者だった2010年代後半、社内のチームで研究力についての連載に取り組んでいた頃、すでに地方の大学では研究環境がかなり悪化していた。ある国立大学の研究者は同僚の取材に、「研究室の測定機器が更新できず、10年くらい前の古いのを使いまわしている」と嘆いた。

地方国立大学は高額機器が少ない

それから5年以上が経つ現在はどうか。大型の競争的研究資金を獲得した一部の研究室には最新の機器類が導入されている一方で、全体としては設備・機器の老朽化がますます進んでいるのが現状だ。

一般社団法人 研究基盤協議会(東京都千代田区)の会長を務める江端新吾・東京科学大学戦略本部教授は、次のように説明する。

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