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40~50歳代を襲う「変形性股関節症」、乳児期のエコー検査で早期診断すれば予防が可能。保健師や助産師の活用がカギに

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股関節の「臼蓋形成不全」は乳児の頃に原因があるケースが多い。しかし予防のための保健指導や早期発見の体制が十分に整っておらず、地域格差もあるのが現状だ (写真:buritora/PIXTA)
科学や科学技術は、その時々の社会や政治、経済の影響を直接受けることもあれば、社会に変革(時には事件や事故)をもたらすこともある。本連載では、そのリアルな姿を通して今の時代を読み解いていく。

「変形性股関節症」をご存じだろうか。股関節周辺の痛みや、かがみにくい、歩きにくいといった症状が現れ、重症化すると日常生活に大きな支障をきたす。

国内の患者数は推定で約1000万人。40~50歳の働き盛りに発症することが多い。進行すれば傷んだ股関節を人工の股関節に置き換えるなどの外科手術が必要になるが、術後のリハビリが数カ月から長期にわたり、生活や仕事に深刻な影響を及ぼす。

本連載では、科学や科学技術のリアルな姿を通して今の時代を読み解いていく

中高年になって突然発症する病気だが、その7~8割は生まれたばかりの乳児の頃に原因があることが知られている。股関節の「臼蓋形成不全」だ。

正常な股関節では、太ももの骨の先端である骨頭(こっとう)が、骨盤側の受け皿である臼蓋(きゅうがい。寛骨臼〈かんこつきゅう〉ともいう)に収まっている。だが臼蓋が浅いため、骨頭をしっかり包み込めなくなっている状態が臼蓋形成不全だ。

乳児の股関節は生まれた後に成長するため、臼蓋形成不全は早期に発見すれば、適切なケアや治療で治る。赤ちゃんの足を自由に動かせるようにすることで予防もできる。つまり、大人になってからの変形性股関節症の大半は「防げる」のだ。

ところが、日本では予防のための保健指導や早期発見の体制が十分に整っておらず、地域格差もあるのが現状だ。

早期発見に向けた取り組みをしている東京大学の吉岡京子准教授(公衆衛生看護学)は、「変形性股関節症は働き盛りの患者のQOL(生活の質)を低下させ、医療費の増大を招く。乳児期の予防の費用対効果は極めて高い」と指摘している。

40代で発症した管理職女性が語る困難

関東地方に住む女性看護師(50)は、2018年、左の腰付近にこれまでにない鈍痛を感じるようになった。「左側のお尻のあたりが常に痛い。最初は股関節の痛みだとはわからなかった」と話す。

しばらく湿布を貼ってやり過ごしていたが、近所の整形外科クリニックを受診すると、大きな病院での検査を勧められた。病院でのレントゲン検査などを経て、「臼蓋形成不全を原因とする変形性股関節症」と診断されたときには、最初の受診から半年以上が経っていた。

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