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「温暖化対策の切り札」とされる原発は、じつは気候変動に対してかなり脆弱だった。日本のエネルギー政策で見過ごされている大問題 

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再稼働したものの、トラブルによって稼働を停止した東京電力の柏崎刈羽原子力発電所 (写真:Mugimaki/PIXTA)
科学や科学技術は、その時々の社会や政治、経済の影響を直接受けることもあれば、社会に変革(時には事件や事故)をもたらすこともある。本連載では、そのリアルな姿を通して今の時代を読み解いていく。

年明けから原子力発電所を巡る不祥事が相次いでいる。

本連載では、科学や科学技術のリアルな姿を通して今の時代を読み解いていく

中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)では、耐震設計に必要な「基準地震動」のデータを意図的に操作し、過小評価していた疑いが発覚した。

また、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市)では、14年ぶりに再稼働した6号機が、核分裂をコントロールする制御棒のトラブルにより停止した。同原発ではこれまでにも、テロ対策の不備やIDカードの無断使用などの問題が起きている。

2025年2月に策定された第7次エネルギー基本計画では、福島第1原発の事故後に決まった「可能な限り原子力発電への依存度を低減する」という文言が削除され、原発を「最大限活用する」方針が明記された。にもかかわらず、「活用」の大前提である安全性や運用する電力会社の信頼性に赤信号が灯っている格好だ。

原発回帰への大転換は、果たして正しかったのだろうか。2月8日投開票の衆院選で、エネルギー政策は本来なら争点の1つになるはずだったが、自民党と旧統一教会の癒着問題や裏金議員・候補の公認、高市首相のNHK討論番組欠席といった政策以前の問題が噴出する中、議論は低調だった。

安全性や信頼性に加え、新たな不安要素もある。地球温暖化に伴う気候変動だ。

過去30年で気候に起因する運転停止の頻度が増加

日本ではあまり取りざたされていないが、原発が気候変動に対してかなり脆弱な電源であることは、国際的な専門家コミュニティーではほぼ共通認識になっている。しかもこれは遠い将来の話ではなく、すでに始まっていることだ。気候変動に伴う洪水や熱波、ハリケーン、海面上昇などにより原発が運転停止や出力制限に陥る回数は確実に増えつつある。

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