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政策金利のさらなる引き上げが円安脱却の近道。日本経済や国債市場の正常化でインフレが当たり前に。金利上昇か円安許容の選択迫られる。

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政策金利0.75%への引き上げを発表した日本銀行・植田和男総裁(2025年12月19日) (撮影:尾形文繁)

2025年12月19日、日本銀行は予想どおり利上げを行い、政策金利を30年ぶりに0.75%まで引き上げた。日本のインフレ率はすでに3年半もの間2%を超えて推移しており、今回の利上げを受けても、実質金利は依然として大幅マイナスのままである。利上げ決定を受けて円が売られたのも不思議なことではない。

対ドルだけ見ているとわかりづらいが、25年も円の弱さが続いた。対ユーロではユーロ導入以来の円安を記録、対人民元では33年ぶり、対シンガポールドルでは43年ぶりの円安水準まで進んだ。実質実効レートでは過去最低を記録した24年7月の水準を下回る円安水準となるのも時間の問題のようにみえる。

日本経済、日本国債市場が正常化

日本の10年国債金利は1999年以来26年ぶりの2.02%まで上昇した。マーケットでは高市早苗政権による積極財政を懸念して長期金利が上昇しているという見方もある。そうした側面もあるだろうが、筆者は日本経済、そして日本国債市場が正常化してきているだけなのではないかと感じている。

というのも日本の政策金利が0.5%を超えていた30年前の10年国債金利は3%前後だった。さらに、インフレ率は当時が1%以下、今は3%前後となっており、今のほうが圧倒的に高い。つまり、今後日本の10年国債金利が3%台まで上昇してもさほど不思議なことではなく、むしろ普通に考えれば3%台に上昇する可能性が高い。

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