日本を世界的に見て「異常な国」にした真犯人 金融正常化は日本経済を正常化させるか?

✎ 1〜 ✎ 116 ✎ 117 ✎ 118 ✎ 119
拡大
縮小
日本銀行
日本銀行は3月18日の政策決定会合で、金融正常化の開始を決定した(写真:yama1221/PIXTA)
これまで金利が抑制されてきたために、収益性の低い投資が正当化され、日本経済の生産性が低下した。金融正常化によって、この状態が修正されることが期待される。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第117回。

低金利がもたらしたのは収益性の低い投資

日本銀行は3月18日の政策決定会合で、金融正常化の開始を決定した。

これまでの金利政策は2016年に導入されたものであり、政策金利がマイナス0.1%に設定されていた。さらに、イールドカーブコントロール(YCC)によって、長期金利(10年債利回り)が0%程度に抑えられた。

今回の正常化決定によって、政策金利におけるマイナス金利を廃止して0.1%にする。また、YCCを停止する。これによって、金利が市場の実勢にしたがって上昇していくことが期待される。

これまでの金融政策は、日本経済の資源配分を大きく歪めてきた。特に問題なのが長期金利の抑制だ。正統的な中央銀行の金融政策は、政策金利だけをコントロールし、それ以外の金利については市場に委ねる。

しかし、イールドカーブコントロールは、直接的な介入によって長期金利もコントロールしようとするものだった。

したがって、本来あるべき金利体系よりは長期金利が抑えられた、歪んだ金利体系が継続してきたことになる。これによって、日本の資源配分が撹乱された。具体的には、収益率の低い投資が正当化され、資源の無駄遣いが行われてきた。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT