それが最もはっきりした形で表れたのは、財政支出だ。財政資金の調達コストが低下したために、国債が増発され、必要性の疑わしい支出が行われた。特にコロナ期においてそれが顕著だった。
また、ゾンビ企業が生き残るといった問題や、住宅ローンの金利が低すぎるために、タワーマンションに対する投機的な動きが発生するという問題も生じた。
最も大きな問題は、経済全体において収益性の低い投資が許容され、それによって、日本経済の生産性が低下したことだ。それがもたらした結果は、以下に見るように、さまざまな面に表れている。
日本企業の競争力が低下
スイスのIMD(国際経営開発研究所)が発表する国際競争力ランキング(2023年6月)によると、日本企業の国際競争力は、64カ国・地域中35位にまで低下した。2015年までは20位から25位程度を維持していたのだが、2016年以降、順位が低下したのだ。
アジア諸国の中では、日本は下から3番目。日本より低いのはインドとフィリピンだけという状態だ。調査項目によっては、世界最低となった。特にデジタル関係では順位が極めて低い。
日本以外の国(特にアメリカ)で、新しい分野の企業が成長したため、時価総額の世界ランキングにおける日本企業の地位が低下した。いまや、世界ランキング100位以内の日本企業は、トヨタ自動車1社のみとなった。そのトヨタも、ガソリン車を中心とするメーカーであり、今後進めなければならないEVへの移行の中で、どうなるかわからない。
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