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インフレが景気判断を惑わせる…実は日本経済はすでに緩やかな景気悪化の真っ最中、景気の「山」は2024年5月だった?

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景気指標がインフレ環境にミスマッチ(写真:Bloomberg)

日本経済が景気悪化局面に入っているのではないか、というシグナルが複数出ている。

例えば、2025年1~3月期の実質GDP成長率は前期比年率0.2%減となった。4~6月期もマイナス成長となる可能性が指摘されている。

民間エコノミストの調査であるESPフォーキャスト調査(7月)では、同0.01%増という予想となったが、回答者37名中、19名がプラス成長、15名がマイナス成長、3名がゼロ成長となっており、見方は分かれている。

仮に4~6月期はマイナス成長になったとしても、小幅なマイナスにとどまるとみられるが、2四半期連続のマイナス成長となれば、いわゆるテクニカル・リセッションとなる。

鉱工業生産指数が示す、じわじわ減産

また、内閣府が算出している景気動向指数もまた景気悪化局面入りの可能性を示している。

CI一致指数による景気の基調判断は、2025年5月に「悪化」(景気後退の可能性が高いことを示す)へ下方修正された(前月までは「下げ止まり」)。基調判断が「悪化」となるのは2019年8月~2020年7月以来。内閣府の担当者は「今月の低下幅は小幅だ。コロナ禍と同じ状況に陥っているわけではなく、今後の指数の動きをより慎重にみるべきだというサインが出ている」と指摘している(『日本経済新聞』)。

むろん、実質GDPもCI一致指数も下落幅はまだ限定的である。

大幅なリセッションを懸念すべき状況ではないと言えるが、一方で先行きについて明るい材料が多いわけではない。

CI一致指数は鉱工業生産に関連する項目が多いが、6月は鉱工業生産指数がまとまった幅で前月比マイナスになる可能性が高い。

すでに公表されている6月の製造工業生産予測指数を用いて内閣府が補正した6月の前月比は1.9%減である。鉱工業生産指数も同程度低下する公算である。また、7月の予測指数も前月比0.7%減となっており、減産が続く公算である。CI一致指数が上向く可能性は低い。

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