米国株S&P500が「年末6800ポイント」まで上がると言える根拠。雇用統計、トランプ関税、FRB利下げ…… 9月9日は要注意

米国株は7月にS&P500とナスダック総合が過去最高値を更新するなど、順調に推移している。
IMF(国際通貨基金)が7月29日に発表した世界経済見通しでは、2025年の世界経済成長率が前年比プラス3.0%と4月時点の予想に比べて0.2%ポイント引き上げられた。トランプ関税の最終的な着地点についてはなお不明瞭さが残るものの、世界景気の見通しが落ち着き始めたことが株高に寄与していると考えられる。
本稿では足元のアメリカ経済の分析を踏まえ、米国株の先行きについて考えたい。
雇用統計は“予想外の悪化”
「好事魔多し」ではないが、8月1日に発表された7月のアメリカ雇用統計は市場の楽観ムードにやや水を差す結果となった。非農業部門雇用者数の伸びは事前予想を下回ったほか、5・6月分が大幅に下方修正され、雇用者数のトレンドを示す3カ月移動平均値は前月比3.5万人増とコロナ禍以降で最低の水準に落ち込んだ。
発表直後の株式市場では、予想外の悪化に狼狽売りが広がる場面も見られたが、雇用統計に端を発する市場の混乱は短期間で落ち着いた。昨年夏の大混乱の記憶が新しいだけに、多くの市場関係者はほっと胸をなでおろしたことだろう。
そもそもアメリカ雇用統計は速報値・改定値・確報値と3度の発表を経てデータが揃うものだが、近年、速報段階でのデータ回答率が低下しており、以降の改定でブレが生じやすくなっている。
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