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S&P500が「V字回復」、米国株の上昇はまだ続くか。5月雇用統計、企業業績、押さえておきたいリスクシナリオ…

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米国
(写真:Michael Nagle/Bloomberg)

4月に急落した米国株がV字回復を見せた。主要株価指数「S&P500」は5000ポイント割れの水準から上昇を続け、6000ポイント前後まで戻している。先行きを見通すうえで、まずは足元のアメリカの経済状況を確認しておこう。

6月6日、マーケットで関心の高い5月雇用統計が発表された。結果は強すぎず弱すぎない絶妙な塩梅であった。雇用者数の伸びは市場予想を上回った一方、失業率は前月から横ばいにとどまった。

その前に発表された民間版のADP雇用統計は、労働市場の先行きをやや不安視させる内容だった。市場ではアメリカの景気が急速にスローダウンするのではないかという懸念が広がっていたが、今回の雇用統計はそうした不安を鎮める結果になったといえる。

ただ、労働市場が今後も堅調さを維持するかどうかの確認作業は続くだろう。下図は、アメリカの求人数と失業者数の推移を示している。

足元では、求人数の落ち着きと失業者数の増加が続いていることがわかる。両者が逆転して差が開くと、雇用環境の悪化による経済全体への影響が意識されてしまうだろう。ジョーカーになりうるのが、いわゆるDOGE(政府効率化省)の取り組みだ。政府部門の退職者が労働市場にスムーズに吸収されるのか、あるいは失業者数増に寄与していくのか。今後の不透明さが気にならなくもない。

しかしながら総合的に見れば、アメリカの現状の景気は、関税やトランプ政策の影響を一部受けながらも底堅さをキープしているといえる。急な景気減速への切迫感は感じられない。強すぎず弱すぎない、ゴルディロックスの状態であろう。

2025年末のS&P500は?

このまま緩やかな景気減速にとどまれば、インフレ率は2%に向けて歩みを続け、景気のソフトランディング(軟着陸)が達成されるだろう。株式相場の見通しも、メインシナリオは景気軟着陸を前提に置くべきと考えている。

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