不毛なトランプ関税による混乱や政府職員削減で大混乱、いよいよアメリカの景気後退懸念が高まってきた

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アメリカ・カリフォルニア州の自動車販売店で中古のテスラを眺める顧客。同国で最も人気がある車種の1つ、アウディには50%超の関税が課される。トランプ関税は自動車だけでなく、消費全般に影響が及ぶ(写真:ブルームバーグ)

アメリカのトランプ政権に対して、金融市場が「株式・債券・通貨のトリプル安」という形で「NO」を突きつけている。

4月9日、アメリカ国債の急落懸念などから、ドナルド・トランプ大統領は発動したばかりの相互関税について、「大部分を一時停止、各国と90日間の交渉期間を設ける」と発表。同日のS&P500種指数などは過去最大の上げ幅となった。

だが、米中両国の関税応酬が続くとわかった10日は一転、株価は大幅に下落。11日も続落していたが、その後、ボストン連銀のコリンズ総裁が「金融市場が混乱した場合、FRB(連邦準備制度理事会)は対応する手段がある」などと発言したことが報じられ、結局同日のS&P500種指数は前日比95ポイント高の5363ポイント、ナスダック総合指数も同337ポイント高の1万6724ポイントまで値を戻した。

それでもアメリカ債券売りは完全に止まったとは言えず、景気悪化を織りこんで4%を割っていたはずの10年債の利回りは、4.5%前後でなお高止まりしている。

トランプ政権は関税政策を本当に続けるのか

改めて、足元の市場の混乱は、トランプ政権の関税政策をめぐる不確実性に起因しているのは間違いない。

そもそも、トランプ大統領は、連邦政府支出の大幅削減なども打ち出している。筆者が住むアメリカでは、関税政策導入でインフレが進み、雇用も悪化して景気が急速に冷え込む「トランプリセッション」(景気後退、2四半期連続でGDPがマイナス成長に陥ること)になるという観測が急速に高まっており、市場も景気減速を示唆するデータに、極めて敏感になっている。

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