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スタグフレーションのリスクだけではないFRBの苦境。トランプ大統領のパウエル議長解任発言など不確実性の増大で市場との意思疎通も危機に

パウエルFRB議長(写真:Tierney L.Cross/Bloomberg)
過去2年余り、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策判断は比較的気楽だったのではないか。働き盛り世代の労働参加率上昇や移民の大量流入で労働供給が増えたため、高めの成長が続く一方、人手不足が緩和してインフレ率は低下したからだ。
FRBの利下げスピードは市場の予想より遅めだったが、それでも米国経済1強と株高が続いたのだから、文句はあるまい。
この環境は、昨年秋の大統領選挙後もさほど変わらなかった。
新政権では①トランプ減税の継続、②関税の大幅引き上げ、③移民流入の抑制が予想されたため、インフレ率が高止まりし、利下げの回数は減ると考えられた。しかし、トランプ大統領は米国経済を大きく損なう政策は避けるとの見方が一般的だったため、今年も米国経済1強が続くとみられていた。その結果が株高、ドル高などのトランプトレードだったのだ。
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