
怒涛の4月相場が終わり、アメリカの株式市場は安定を取り戻しつつある。
4月の主要株価指数「S&P500」は、トランプ大統領が「解放の日」に発表した相互関税の影響で1週目にマイナス9.1%の急落となったが、2週目にはプラス5.7%と反発した。3週目はマイナス1.5%、4週目はプラス4.6%、5週目(5月を含む)もプラス2.9%となり、新興国株価のような変動の激しい展開となった。
恐怖指数と呼ばれるVIX指数は、通常30を超えると相当なストレス下にあることを示すが、一時は56へと急上昇した。これは2020年のコロナショック以来の水準だ。
これだけのショックを受けると市場は回復に数カ月間の時間を要するものだが、今回は4月後半からS&P500が7営業日連続で上昇するなど、金融市場は早くも安定化に向かっている。株価反転の主要因は3点ある。
1つはトランプ政権の関税政策について、いったん悪材料を織り込んだこと。そして、その過程で市場はトランプ大統領の言葉は信用できないが、ベッセント財務長官の言動は信頼に値するとして、政権の中に一定の安定感を見出したことだ。
2つ目はFRB(連邦準備制度理事会)がアメリカ金融市場のシステムを守る姿勢を示したことで、株安・債券安・ドル安のトリプル安がクレジット市場に波及して金融危機を招くようなリスクが後退したこと。
そして3点目はアメリカ企業の決算が、想定していたよりも堅調であることだ。これまでのところ公表企業の7割以上が予想を上回り、2025年1~3月期のEPS(1株当たり利益)は前年同期比で2桁の成長率が見込まれているほか、多くの企業が先行きの不透明感が強い中でも業績のガイダンスを示した。マイクロソフトなどのハイパースケーラーが、AI関連の設備投資の継続姿勢を示したことも市場を安心させた。
ひとまずは「無難に通過」
こうした中で、市場の焦点は「いつFRBが利下げサイクルを再開するか」という点にシフトしつつある。
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