
鳥嶋氏は、鳥山明『Dr.スランプ』に登場する憎めない悪役、Dr.マシリトのモデルとしても知られる(トリシマ→マシリト)。Dr.マシリトの口癖も「ボツ」(撮影:尾形文繁)
鳥嶋和彦(とりしま・かずひこ)/編集者、Dr.マシリトのモデル。1952年生まれ。76年慶応大学法学部卒業、集英社入社。創刊8年目の『週刊少年ジャンプ』編集部に配属、鳥山明ら人気漫画家を育成。96年、ジャンプ6代目編集長就任、任期中に『ONE PIECE』などのヒット作をスタート。集英社専務、白泉社社長、会長を歴任した。
集英社で『ドラゴンボール』などのヒット漫画を担当してきた剛腕編集者にして『週刊少年ジャンプ』伝説の編集長。本書の著者・鳥嶋和彦氏は、漫画家・鳥山明氏の原稿を500枚「ボツ」にしたという容赦のない伝説を持つ。『ドラゴンボール』誕生秘話、『Dr.スランプ』アニメ化を失敗と断ずる理由、『ONE PIECE』の連載になぜ反対したのか──。当時の編集部を赤裸々に描く本書について話を聞いた。トークは終始辛口、本誌への手厳しい“激励”も飛び出す異色のインタビューとなった。
──本書が生まれた経緯は?
「ジャンプ時代に何をしたのか、話を聞きたい」と企画が持ち込まれた。僕も今後何をしようか考えるに当たり、誰かと話して頭の中を整理することにした。
ただ、あくまで壁打ちの機会。出版社には「僕と話したからといって、本を出せる保証はないよ」と伝えた。
──過酷な条件ですね。
予定調和で発行した本であふれて、書店が困っているじゃない。自分自身が編集者だから、その中の1冊にはしたくなかった。
小・中学生の頃に読んでいた漫画が、どのようにできていたのか。大人になって知ることができるのがこの本だ。完成形が簡単に出てくるのではなく、裏側では失敗含めいろんなことが起きる。
でもね、最後まで頑張り続ければ形になるよ、皆が見るものになるよ、とエールを送りたかった。
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