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三菱自動車・商品戦略トップが語る「新車強化」方針、「国内ラインナップは2つの新型車準備」、拡大戦略の母国市場で商品強化明言、北米での日産ホンダ協業は議論中

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なみき・こういち 1962年1月生まれ。84年近畿大電子工学科卒。オービックを経て86年三菱自動車工業入社。協業企画推進室長やグローバルピックアップ事業推進本部長などを経て2020年4月執行役商品戦略本部長。21年4月商品戦略担当執行役兼務、24年4月から現職(撮影:尾形文繁)

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稼ぎ頭の北米市場がトランプ関税の直撃を受け、主力の東南アジア市場が中国勢の攻勢にさらされる三菱自動車工業。一方で、長らく販売台数の減少が続いてきた日本市場は、ここ5年で販売台数が1.5倍に伸びた。地域で様相が異なる中、商品戦略本部長の並木恒一上席執行役に三菱自の商品戦略の方向性を聞いた。

――現状のグローバルラインナップをどのように評価していますか。

当社は経営規模が大きくないので、たくさんの車種を維持することは難しくなっている。自社開発はグローバルで8車種程度が限界だと思う。

ピックアップトラック「トライトン」とその派生車種、SUV(スポーツ用多目的車)「アウトランダー」と「アウトランダースポーツ(RVR)」、東南アジア向けのSUV「デスティネーター」「エクスフォース」SUVミニバン「エクスパンダー」、日本のミニバン「デリカD:5」が主となる。

新興国の中でも力を入れている東南アジアと、先進国である北米や日本では置かれている環境がまったく違う。例えばアメリカは衝突性能に対する基準が厳しく、環境規制も異なる。そうすると必要なものが変わってくる。同じ車種をグローバルで売ろうとするとコストが高くなって、地域によって売れなくなる。

あえて「少し外した」車づくりが必要

――地域別で開発車種を分ける必要がある、と。

その通り。ざっくり言えば、新興国と先進国で4:4になる。国内には軽自動車があるがその次のサイズの車種をどうするか。コンパクトカーやSUVを単純に投入しても、いわゆるレッドオーシャンに飛び込んでいくような車で販売側が売りにくく、三菱自のイメージや規模では他社にかなわず値引きに走ってしまう。

漁場の大きいところはいわゆるレッドオーシャンなので、三菱自のイメージや規模では勝ち目はない。あえて「少し外した」車づくりが必要だと思っている。

――主戦場とする東南アジアでは中国勢との競争が激化しています。

中国勢はEV(電気自動車)だけでなく、低価格とこれまでになかった機能の物珍しさといった特徴があり、売りやすい車を持つ。先ほどのレッドオーシャンと同じ話で、われわれは彼らと異なる価値で購入してくれる顧客に売る。トヨタ自動車などフルラインナップメーカーはそうもいかないだろうが、三菱の規模ならできるはずだ。真っ向から戦うのではなく、別の特徴で勝負する。

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