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三菱自社長「日産、ホンダと新型車の共同開発を検討」、タイ工場停止で5年ぶり最終赤字、生き残りへ提携フル活用

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加藤隆雄(かとう・たかお)/1962年生まれ、84年京都大学工学部卒業、三菱自動車工業入社。2014年名古屋製作所副所長、15年インドネシア子会社社長、19年取締役代表執行役CEO、21年4月から現職(撮影:尾形文繁)

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電動化や自動運転、ソフトウェアといった先進技術の開発競争は熾烈を極め、アメリカではトランプ大統領による関税の引き上げと電気自動車(EV)促進策の見直しが進む。さらには中国勢を始めとした新興勢力の台頭もあるなど、自動車産業を取り巻く事業環境は激変している。
大手メーカーでさえ厳しい状況下、日本最小の自動車メーカーはどのように生き残っていくのか――三菱自動車工業の加藤隆雄社長に直撃した。

――2026年3月期上期(4~9月期)決算の営業利益は前年比81%減の173億円、最終損益は92億円の赤字へ転落と非常に厳しい結果となりました。

トランプ関税で一気に風向きが変わった。ASEANでも新型車を出したが、タイとインドネシアは経済が悪い状況で難しい。われわれだけではなくすべての自動車会社の決算も減益になっているので業界全体が厳しい状況にある。

――確かに日本車メーカーでも営業赤字に陥った会社が複数あります。

営業黒字で終わるところが非常に大事だと思っている。今回は最終損失が出て、みなさんに「赤字転落、赤字転落」と書かれたが、積極的に特別損失を計上したという側面もある。

タイの第3工場を停止することを決めた。市場環境が厳しくても、いま整理すべき課題は整理していく。タイの合理化がなければ最終損益も黒字になったわけで、印象はよかったかもしれない。だが、本来やるべきことをきっちりやっていく。

中国は撤退、タイでは能力削減に踏み切った

――23年には中国での完成車生産から撤退しました。今回のタイの工場停止も含め市場の選別を進めているのでしょうか。

われわれの規模の会社だと中国でやっていくのはかなりハードルが高かった。残念ではあったが撤退を決めた。タイについては、これだけタイバーツが上がってくると輸出拠点という魅力が下がってくることに加えて、人口が伸びにくい。そうした経済環境を見るとここは能力を削ろうとなった。

――現状、世界販売台数のうちASEANが3割、北米が2割を占めています。この2地域を主力市場としていく方針でしょうか。

われわれが比較的恵まれているのはどこかの国に依存しているわけではないということだ。今期は中南米や中東・アフリカが伸びており、母国市場である日本も好調だ。だから、どこかに収益ドライバーがあるというよりも全体のポートフォリオでカバーしていく形ではある。

ただ、一つの地域で売れているわけではないということは、リソースが分散して効率的ではない側面がある。将来的な方向性としては、ポートフォリオが分散する中でも強い国で台数を伸ばしていかなければならない。

例えば今までASEANというくくりでやってきたが、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムと国別にしっかりと分析して戦略をクリアにしなければならないと考えている。

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