
日系が高いシェアを持つピックアップトラック。写真は三菱自動車のトライトン(写真:時事)
7億人の巨大市場を擁し、世界の製造ハブの役割も担う東南アジア。一方、トランプ関税や民主化後退など地政学リスクも顕在化している。本特集では岐路に立つ地域の実相に迫る。
タイは、ASEAN自動車市場における中国系メーカーと日本メーカーとの主戦場になっている。
タイでは、2022年以降のEV(電気自動車)奨励策に合わせてEVを集中的に投入した中国勢のシェアが急伸。日系のシェアは同年の85.4%から25年には71.7%まで低下した。日系は主にHV(ハイブリッド車)の設定を増やすことで中国系を迎え撃とうとしている。トヨタ自動車は、上中級車種から低価格のヤリス級の小型車にまでHV設定を拡大する。

過剰在庫・生産能力を抱えることに
タイにおける24年のHVの販売は12万7000台と前年比で50%近い伸びを示す一方、EVは約6万9000台と前年から9%減った。しかし、今年に入ってからEVが再び増大に転じており、9万台まで回復する見通しだ。
EV販売の伸びを支えるのは中国勢の迅速な新製品の投入と、既存製品の激しい値引き競争だ。その仕掛け役は、EV市場の4割を占め首位に立つ中国BYDである。
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