
湖池屋のベトナム工場で欧州向けのポテトチップスを製造している様子(写真:湖池屋)
7億人の巨大市場を擁し、世界の製造ハブの役割も担う東南アジア。一方、トランプ関税や民主化後退など地政学リスクも顕在化している。本特集では岐路に立つ地域の実相に迫る。
今年4月に米国が発表した相互関税では46%と、東南アジア各国の中でも高い関税率を突きつけられたベトナム。ベトナムの最大の輸出先は米国で輸出全体の30%を占める。現地で事業を行う日本企業はどのように対応するか(タムロン、TOTO、湖池屋、エースコックの取材は関税交渉合意前の6月に実施)。
・タムロン
カメラ用交換レンズで世界首位のタムロンは今年ベトナムで2つ目となる工場を稼働させた。世界生産に占める中国の比率を現状の65%から2028年には45%に引き下げ、ベトナムを25%から45%に引き上げる。
中国リスク緩和も目的としたベトナム増強だったが、同国への高い関税率は想定外の事態だった。ただ会社側は「現在も関税率は中国に対し低く、猶予期間終了後に各国に対する関税率が引き上げられる可能性もある。労務費などを含めてベトナム製造の優位性は揺らがない」として、対応策を検討しつつも静観の姿勢だ。
国際分業から一貫で行える体制に
・TOTO
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