
オリンパスの内視鏡トレーニングセンター(写真:オリンパス)
7億人の巨大市場を擁し、世界の製造ハブの役割も担う東南アジア。一方、トランプ関税や民主化後退など地政学リスクも顕在化している。本特集では岐路に立つ地域の実相に迫る。
経済成長が著しく、豊かな生活と都市化が広がるASEAN各国では、新たな問題が浮上している。健康問題だ。
食の欧米化や交通網の発達とホワイトカラーの増加に伴う運動不足、加糖飲料の消費増で2010年代から生活習慣病が増えて、本格的に問題視されるようになった。
フィリピンやタイなどでは砂糖など甘味料を加えた飲み物に税金がかけられており、インドネシアでも25年7月に加糖飲料への課税が予定されていた(導入を26年に延期)。タイやマレーシアなどでは糖尿病の有病率が人口の1割を超えている。そのほか新規がん患者も各国で増加傾向が続く。少子高齢化も着実に進んでいる。
そのため東南アジアのヘルスケア市場は安定した成長が期待され、日本企業も商機を見いだしている。
内視鏡医を現地で育成
消化器内視鏡で世界トップシェアを誇るオリンパスは、東南アジアにおける医師育成に本腰を入れている。罹患(りかん)率が上昇傾向にあるがんの早期発見を支える医療体制を整備するニーズが高まっているからだ。
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