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先行き不透明の中、チャンス狙う東南アジア諸国の思惑。サプライチェーン再編で発展を継続できるか

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航行中のコンテナ船
(写真:Avigatorphotographer / PIXTA)

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7億人の巨大市場を擁し、世界の製造ハブの役割も担う東南アジア。一方、トランプ関税や民主化後退など地政学リスクも顕在化している。本特集では岐路に立つ地域の実相に迫る。

「一方的だ」。5月末に開かれたASEAN首脳会議で議長国・マレーシアのアンワル首相は憤りを隠さなかった。

批判の矛先は4月に米国が打ち出した相互関税だ。発表された議長声明では「一方的な関税措置およびその措置が域内諸国の経済に及ぼしうる影響について、深刻な懸念を表明する」と記された。

ASEANは今回サウジアラビアやUAE(アラブ首長国連邦)などの湾岸諸国6カ国で構成されているGCC(湾岸協力会議)と中国による合同首脳会議も開催した。これまでもあったGCCとの枠組みに初めて中国も引き入れた。米国に次ぐ貿易相手国や産油国との自由貿易圏の確保にASEANは腐心しているといえる。

議長声明ではASEAN諸国は「米国との率直かつ建設的な対話を継続し、米国の関税措置に対して報復措置を課さないことをコミットする」ともした。ASEANとして結束しつつも、穏便に対応しようとする姿勢も見せる。

ただ、ASEANとしての動きとは別に、トランプ関税をはじめとした国際貿易秩序の変容に対して、域内諸国、とくにASEAN5はリスクと同時にチャンスとも捉えて動き出している。自由貿易体制を求める姿勢では一致するが、サプライチェーン再編をめぐり激しい誘致合戦を展開している。

域内でも分かれる戦略

今回のトランプ関税の影響が最も懸念されるのはベトナムだ。

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