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小田急沿線は、ポテンシャルが非常に高い
――この先の経営環境をどのようみていますか。
従来の私鉄のビジネスモデルは、鉄道、バス、タクシーなどの交通事業を核に、沿線に住宅やレジャー施設を開発し、人口増加を背景に輸送力を増強するというもの。しかし、日本で少子高齢化が進む中、このモデルは転換期を迎えた。各社がそれぞれの強みに合わせてビジネスモデルを多様化していく時代になった。
全国的な人口動態をみると、大都市圏への人口流入は今後も進むと予測されている。首都圏も有力な流入先であるため、この流れを追い風と捉え、小田急沿線に住んでいただくことを大きな目標としている。小田急沿線は、ポテンシャルが非常に高い。沿線人口は現在約520万人で、2050年度まで大きく減少することはないと見込んでいる。
今後はこれらのターゲットに対して、乗降の多い中核駅を中心としたエリアで生活を完結できるような、まちづくりを推進していく方針であり、それを具体化しているのが神奈川の海老名市だ。「職、住、商、学・遊、ウェルネス」を兼ね備えた開発を推進しており、足元ではマンションや医療モールなども入る複合施設を整備している。海老名市の人口は2000年から2024年の間に約20%増加しており、これは神奈川県全体の増加率(約9%)を大きく上回っている。
――観光事業への取り組みは?
観光事業をグループの強みと捉えている。特に、箱根と湘南エリアにあらためて力を入れていく。
小田急グループには、「交通」「不動産」「生活サービス」の3つのセグメントがあるが、これらを横断する「観光」については、明確な定義や目標値が認定されていなかった。しかし、今回の新中期経営計画では、3セグメントでの相乗効果も期待し、グループの成長エンジンとして再定義するため、2030年度に向けた具体的な数値目標を策定した。
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