有料会員限定

小田急電鉄・鈴木社長が描く「稼ぐ観光」へのモデル転換、「観光事業はグループの強み。特に箱根と湘南エリアに力を入れていく」

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
鈴木滋(すずき・しげる)/1965年生まれ。1988年慶応大学卒業、小田急電鉄入社。小田急箱根ホールディングス(現小田急箱根)営業統括部長や小田急リゾーツ社長を通じて、通算7年箱根の事業に携わる。2021年取締役、2024年4月から取締役社長。神奈川県出身(写真:今井康一)

特集「西武vs.小田急 50年ぶりのバトル」の他の記事を読む

少子高齢化を背景に輸送人員の減少が懸念される鉄道業界。関東の私鉄大手は各社特有の戦略を掲げることで、今後の持続的な成長を目論む。小田急電鉄は、中長期ビジョンとして「地域価値創造企業」を掲げている。
その背景には、同社の強みに対する新たな認識がある。「観光で稼ぐ」新たなビジネスモデルを鈴木滋社長に聞いた。

小田急沿線は、ポテンシャルが非常に高い

――この先の経営環境をどのようみていますか。

従来の私鉄のビジネスモデルは、鉄道、バス、タクシーなどの交通事業を核に、沿線に住宅やレジャー施設を開発し、人口増加を背景に輸送力を増強するというもの。しかし、日本で少子高齢化が進む中、このモデルは転換期を迎えた。各社がそれぞれの強みに合わせてビジネスモデルを多様化していく時代になった。

全国的な人口動態をみると、大都市圏への人口流入は今後も進むと予測されている。首都圏も有力な流入先であるため、この流れを追い風と捉え、小田急沿線に住んでいただくことを大きな目標としている。小田急沿線は、ポテンシャルが非常に高い。沿線人口は現在約520万人で、2050年度まで大きく減少することはないと見込んでいる。

今後はこれらのターゲットに対して、乗降の多い中核駅を中心としたエリアで生活を完結できるような、まちづくりを推進していく方針であり、それを具体化しているのが神奈川の海老名市だ。「職、住、商、学・遊、ウェルネス」を兼ね備えた開発を推進しており、足元ではマンションや医療モールなども入る複合施設を整備している。海老名市の人口は2000年から2024年の間に約20%増加しており、これは神奈川県全体の増加率(約9%)を大きく上回っている。

――観光事業への取り組みは?

観光事業をグループの強みと捉えている。特に、箱根と湘南エリアにあらためて力を入れていく。

小田急グループには、「交通」「不動産」「生活サービス」の3つのセグメントがあるが、これらを横断する「観光」については、明確な定義や目標値が認定されていなかった。しかし、今回の新中期経営計画では、3セグメントでの相乗効果も期待し、グループの成長エンジンとして再定義するため、2030年度に向けた具体的な数値目標を策定した。

次ページ2030年度までに観光関連に600億円投資
関連記事
トピックボードAD