有料会員限定

上場間近のSBI新生銀行が水面下で抱える時限爆弾、「安すぎたTOB価格」に噴出する株主の怒り

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
SBI新生銀行
12月に上場を控えるSBI新生銀行が、巨額負担につながりかねない「訴訟」を抱えていたことが判明した(編集部撮影)

12月17日、SBI新生銀行が東京証券取引所への再上場を果たす。2023年にSBIホールディングス(HD)が完全子会社化を行ってからは、本業の収益力を高め、今年7月には約3500億円もの公的資金を完済した。上場時の時価総額は約1.3兆円と、今年最大の規模になる見通しだ。

美しい復活劇に見えるが、実はある「時限爆弾」を抱えたままの船出となる。

明るみになった「訴訟」の存在

「訴訟について」。300ページを超えるSBI新生銀行の目論見書に、この不穏な一文が記載されている。発端はSBIHDが2023年に行った、同行へのTOB(株式公開買い付け)だ。1株2800円というTOB価格が「安すぎる」と不満を抱いた当時の株主12名が、東京地方裁判所に価格決定を申し立てていたのだ。

英語版の目論見書には、より詳細な記載がある。申し立てを行った株主の保有株数は合計約1800万株で、当時の発行済み株式数の約9%を占める。公正なTOB価格が2800円超であると裁判所が判断した場合、SBI新生銀行は2800円との差額に年3%の遅延損害金を加算した額を支払う必要が生じ、財務を毀損しかねないという。

東洋経済の取材に対して、SBI新生銀行は「係争中のためコメントは控える」とした。

目論見書
目論見書に記載された訴訟の事実(記者撮影)

TOB価格に意義を唱えたのは、主に海外の機関投資家だ。事情を知る関係者によれば、申立人にはアトス・キャピタルやシタデル、メイヴン・インベストメント・パートナーズ、ノルウェー銀行が含まれている。このほか個人投資家も参加しているようだ。

次ページTOB価格は安すぎたのか
関連記事
トピックボードAD