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TOB価格決定で大もめ、株式非公開化“祭りの後”。後を絶たない少数株主に訴えられるケース

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TOBと印字されたブロックとビジネスパーソンのミニチュア
(写真:Luce / PIXTA)

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市場改革の推進や株主の攻勢によって、日本の上場企業は大淘汰の波にのみ込まれている。本特集「上場企業クライシス」では、激変期に突入した資本市場の今をリポートする。

「市場は高く評価しているにもかかわらず、あまりに安すぎるのではないか。少数株主を愚弄している」

投資家がこのように怒るのは、トヨタ自動車などによる豊田自動織機(以下、豊田織機)に対するTOB価格のこと。豊田織機はこのTOBによって非公開化する。

スキームの詳細はこちらの記事をご覧いただきたいが、トヨタが発表したTOB価格は1万6300円。しかし非公開化の検討が明らかになって以降、豊田織機の株価は上昇し、正式発表の当日には1万8000円台をつけていた。

「市場はそれだけのバリューを感じているのに。これではディスカウントTOBだ」というのが、この投資家が憤る理由だ。

TOB価格の決め方を問題視

そのうえで問題視するのは、TOB価格の決め方だ。「PBR(株価純資産倍率)1倍から逆算して算出したとしか思えない。解散価値であるPBR1倍はクリアしているからいいでしょと言いたいのかもしれないが、納得できない」。確かに豊田織機の2025年3月期末の1株当たり純資産は1万6273円でほぼ一致する。

豊田織機最後の株主総会でも「価格が低すぎるのではないか」「少数株主への配慮が足りないのではないか」といった質問が相次いだ。市場関係者からも、「TOB価格算定の根拠となる将来のキャッシュフローを割り引く割引率や、成長率などの開示がないのはおかしい」といった声が上がる。

TOBの実施は今年12月。だが、トヨタや豊田織機の株式を保有する香港系アクティビストのオアシス・マネジメントが、TOB価格の引き上げに向け、ほかの株主との連携も視野に経営陣と対話する方針を示したとの情報もあり、すんなりとはいきそうにない。

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