大正製薬、ローランドDGにみる「様変わりのMBO」 株主を納得させられる「TOB価格」がより重要に
「上場廃止することでオーナー(創業家)の圧力が一層強まり、より閉鎖的になるのではないか。会場内は反対意見が多く、もめている雰囲気だった」
総額約7100億円ものMBO(経営陣による買収)を実施した大正製薬ホールディングス(HD)の臨時株主総会が3月18日に開かれた。株式非公開化に向けた株式併合などの議案はすべて可決。しかし総会に出席した株主から聞かれたのは不満の声だった。
大正製薬HDに対しては昨年末から今年1月にかけて1株8620円でTOB(株式公開買い付け)が行われた。買い手の大手門株式会社は創業一族で現社長の息子の上原茂氏(大正製薬HD副社長)が代表を務める。
創業家側は従来保有していた約4割の株式と合わせて、発行済み株式の約73%を手中に収めた。今回の臨時株主総会で株式併合が決まったことで、大正製薬HDは4月9日予定の上場廃止へと向かう。
「TOB価格が安い」とファンド株主
だが、それで無事終了とはいかなそうだ。複数のファンド株主が法的手段に訴えることを検討しているからだ。アメリカの投資ファンドのキュリRMBは、すでに法的手段の準備を進めている。
株主らの念頭にあるのは2020年に実施された、伊藤忠商事によるファミリーマートへのTOBだ。TOB価格が安すぎるとして、RMBやオアシス・マネジメント(香港)など複数の株主が裁判所へ価格決定の申し立てを行った。
この申し立ては会社法に定められた株主の権利で、TOB価格に不服がある株主は、裁判所に対して適正な価格を決定するよう申し立てることができる。
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