大正製薬、ローランドDGにみる「様変わりのMBO」 株主を納得させられる「TOB価格」がより重要に

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東京地方裁判所は株主側の主張を認め、TOB価格から300円増やした2600円が適正だと判断した。伊藤忠側はこれを不服として抗告し、現在も東京高等裁判所で議論が続いている。

大手門による大正製薬HD株のTOBは、発表前の株価に対し5割超を上乗せした価格とした。だが、PBR(株価純資産倍率)で1倍を割っており「安すぎる」と、一部の株主らが異議を唱えていた。

大正製薬HD株を保有するオアシスのセス・フィッシャー最高投資責任者は、「価格を議論した特別委員会に独立性の低い人物が選ばれていることなど、プロセスに大きな問題がある」と主張する。

大正製薬は「多くの株主様はTOBにご応募いただいており、今回の臨時株主総会での議案においても多数の賛同を得ていることから今回のMBOは適正」と東洋経済にコメントした。

異例の「対抗TOB」が勃発

大正製薬HDのようにMBO後までTOB価格が争点となるケースがあれば、そもそもMBOの成立が危うくなるケースも出ている。

目下話題なのが、産業印刷機メーカーのローランド ディー.ジー.(DG)のMBOだ。米投資ファンドで大株主でもあるタイヨウ・パシフィック・パートナーズと組み、ローランドDG株の買い付けを始めた。TOB期間は2月13日から3月27日まで。TOB価格は1株5035円だ。

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