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過熱する【ソフト人材争奪戦】、自動車各社が次々と都心に開発拠点増強、異文化との融合に悩み、部品メーカーからは悲鳴も

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大阪駅の北側「うめきた」に開設した「ホンダソフトウェアスタジオ大阪」。高い利便性と働きやすいオフィス環境でソフトウェア人材の確保を目指す(写真:ホンダ)

「わざわざ自動車業界に来るソフトウェアエンジニアがそもそも少ない」。ある大手自動車メーカー幹部はそう語って、ため息をついた。

もともとエンジンや車両の電子制御など自動車では多くのソフトウェアが使われていたが、その領域が近年、急拡大している。

運転支援・自動運転技術、HV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)の電池制御、OTA(無線通信でソフトウェアをアップデートすることで機能を追加できるサービス)、エンターテインメント、果てはサイバーセキュリティ……そうしたソフトウェアを統合制御する車載OS(基本ソフト)までソフトウェアの重要性は増す一方だ。

さらに、自動車の価値(商品力)を決めるのはエンジンやボディ、内装といったハードではなく、ソフトウェアであるとするSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)という概念が業界で広がっている。

求められる人材は機械工学からソフトウェアに

「機械工学などがこれまで重要な技術人材だったが、今はとにかくソフトウェアだ」「これまで端っこの領域だったソフトウェア領域で何よりも人が欲しい」

自動車メーカーから聞こえてくるのは焦りにも近い声だ。自動車の開発部門といえば、機械工学を学んだ人材が中心で、ソフトウェアの専門人材は今も十分ではない。この先不足感は増していく。

経済産業省によると、SDV領域の開発人材は2025年時点で必要人数13.9万人に対して3.3万人不足しているという。さらに、2030年には32.5万人に対して5.1万人不足へと拡大する見通しだ。大手電機各社、IT大手、コンサルティング会社などもソフトウェア人材の採用を強化しており、「自動車業界だけが欲しいわけではない」(ホンダ幹部)。

こうした中で、自動車メーカー各社はあの手この手で人材を確保しようと苦心する。

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