JR北海道「女性運転士ゼロ」の異様、JRグループの中で唯一。背景には「女性運転士の施設がほぼない」「労組の影響」「旧国鉄時代からの古い体質」

今年に入って、保線現場で見張りを置かずに線路工事を行うなど保安上の不適切事案が相次いで発覚し、国から全国初の「強化型保安監査体制」の適用を受けたJR北海道。いまだに多くの赤字ローカル線を抱え、2018年から国土交通省に経営自立に向けた経営改善の取り組み状況を四半期ごとに報告している。
その取り組みの1つに「女性職域の拡大」がある。6月に公表した進捗状況(「経営改善に関する取り組み」)では、「2025年5月に新幹線運行管理センターに女性社員1名を配置」「2026年度から苗穂工場(検修職)への女性配属に向けて、2025年度中に設備改修を実施予定」と記されている。
これでもかと女性社員の活躍を紹介
現在、JR北海道で女性社員は確かに活躍している。琴似駅の初代駅長となり、新千歳空港駅長や営業部長などを歴任した林雅子氏は、いまやJR北海道の執行役員開発事業本部長の重責を担う。この6月には札幌駅で史上初となる女性駅長に、伊藤美由紀氏(前小樽駅長)が抜擢された。
女性活躍に対する一連の取り組みが優秀だとして、2025年3月には厚生労働省から「えるぼし認定」も受けた。JR北海道はこれを大々的にアピールし、公式ホームページではこれでもかと女性社員の活躍ぶりを紹介している。
ところが、である。JR北海道には鉄道会社を象徴する職種である運転士に、女性社員が1人もいない。女性活躍を強調すればするほど、そのことがいっそう異様に映る。
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