
今年5月、JR西日本は新たなスマホ決済サービス「Wesmo!(ウェスモ)」を投入した。キャッシュレス決済や個人間・企業間送金を主な機能とするアプリで、2030年までに利用者を300万人にすることが目標だ。
ウェスモは、クレジットカードの「J-WESTカード」、交通系ICカードの「ICOCA(イコカ)」に続く決済サービスで、グループ共通会員サービス「WESTER(ウェスター)」のポイントと連携できる。1000万人以上の会員を抱えるウェスターとの連携を強みに、「ウェスターワールド」と称する独自のポイント経済圏を拡大していく。
一方、JRグループにおいてポイント経済圏で先行するのはJR東日本だ。2006年に開始した「モバイルSuica(スイカ)」は交通系ICカードとしてもスマホ決済サービスとしても利用でき、その手軽さが多くの顧客に支持されている。モバイルスイカの発行数はすでに3300万枚を超える。
JR東日本は2024年5月に、楽天銀行が提供する銀行システムを活用するネットバンク「JRE BANK(ジェイアールイーバンク)」をスタートさせた。こうした新たな金融サービスと密接に連携し、「スイカ経済圏」のさらなる拡張に邁進する。
鉄道依存に強い危機意識
経済圏をめぐる競争において、ウェスモの投入で存在感を高めようとするJR西日本。しかし、スマホ決済サービスとしてはモバイルスイカだけでなく、米アップルの「Apple Pay」、ソフトバンクグループの「Pay Pay」、楽天グループの「楽天ペイ」といったネット専業者のアプリがひしめく。周回遅れの印象が否めないウェスモの導入だが、JR西日本に勝ち筋はあるのか。
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