2022年から順次就役している海自上自衛隊のフリゲート艦「もがみ級」の改良型が、豪海軍の艦艇として採用されることが決まったが、改良前の「もがみ級」は失敗作だったのではないだろうか。当初海自は22隻程度を取得する見通しだったが、12隻で終わり、早々に改良型へ切り替えることになったことが「失敗」の何よりの証拠ではないか。本稿では、「失敗」だと筆者がみる理由と背景を掘り下げる。
まずは「もがみ級」の導入に当たって期待されていた「省人化」が実現したのかどうか、という点から見ていきたい。
海自トップへの直撃で判明した事実
もがみ級では「クルー制」が導入されるはずだった。クルー制とは、1隻を乗員1チーム(クルー)が使うのではなく、1隻を複数のチーム(クルー)で使うことだ。もがみ級は乗員数を80人と従来の護衛艦の半分程度まで減らしている。そして、3隻に対して4組のチーム(クルー)を準備し、1組は休憩できるようにローテーションする予定だった。これにより、限られた人員数で艦を効率的に使うことできるようになって「省人化」が図られるはずだった。すなわち、艦の運用効率の向上と、乗員の負担減を両立できるとみられていたのだ。
ところが、海自の隊員不足が予想より深刻で、必要な乗員数を確保できず、クルー制を完全には導入できなかった。この事実を防衛省や海自は自ら公表しておらず、筆者が記者会見で海自トップの海上幕僚長に質問したことで明らかになった。



















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