古代ギリシャ以来、西洋哲学は、真なる存在を探究し続け、それを「実体」と呼んできた。実体は、私たちが日々経験しているような「現象」とは異なる。
色や音、手触りなど、移り変わるものは真なる存在とはいえない。1+1=2が不変であるように、実体もまた永遠不変の存在でなければならない。多くの哲学者がそのように考えてきたし、近代の唯物論もまた、「実体」への固執を捨てきれていない。すなわち、物質こそが世界の基礎であり、すべての現象は物質粒子の位置と運動によって説明できるという見取り図である。17世紀以来の近代科学の発展は、この唯物論を後押ししてきた。
「有機体の哲学」
しかしアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは、こうした見方そのものに根本的な疑義を突きつけた。本書の中で彼は、実体に基づく唯物論的な世界観に対して、「出来事」(「現実契機」とも言う)を、世界を形作る根本的な単位と捉える世界観を提示している。





















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