「思考や感情」も物理法則によって説明できるのか 「自由意志」と決定論的で機械論的な科学の関係

自由意志とは何か?
生きているとはどういうことなのかと尋ねられたとき、私たち人間がたいてい挙げるもっとも特徴的な要素は、主体性と自由意志という概念に関係したものだろう。
専門用語としてこれらの言葉を定義したり説明したりすることは、いまだ容易ではない。現段階では、科学的知識によって表現されているというよりも、この世界における私たちの経験に基づいているにすぎない。
自由意志は一般の人々の議論でも馴染み深いテーマなので、そこからスタートすることにしよう。おそらくあなたは、自分には自由意志があると感じていることだろう。私もそうだ。私は自分がこの本を書くことを選んだと感じているし、あなたも自分がこの本を読むことを選んだと感じているだろう。
しかし物理学における現在の一般的な説明では、そんなことはありえないという。
たとえば、著名な科学コミュニケーターで弦理論学者のブライアン・グリーンは、「生命のプロセスは分子のとりとめのない運動にほかならず、それを完全な形で記述する物理法則は、同時に、情報に基づくハイレベルのストーリーを語っている」と記している。
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