広陵高校の"暴力事案"で露呈した甲子園強豪校が抱える構造的問題

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出場辞退について記者会見する広陵の堀正和校長(写真:時事)

この8月、筆者は夏の地方大会で敗退した高校3年生が集まってリーグ戦を戦う「LIGAサマーキャンプ」の取材を続けていた。10日、北海道新十津川町営球場のネット裏でリーグ戦を観戦中に、広陵高校が甲子園2回戦の出場を辞退したという報に接した。

周囲には数人の高校野球指導者がいたが「広陵高校が出場辞退したようです」と言うと、指導者たちは一様に肩を落とし、ため息をついた。

彼らは、目の前のリーグ戦を見ながら、スマホで甲子園の試合も注視していた。指導者たちは地方大会で敗退したからここにきているのだが、自分たちを破って甲子園に出場した学校は、同じ夏を戦った「同志」「仲間」であり、その一校が「無念の辞退」に追い込まれたことは、他人事ではなかったのだ。

「どうして、もっと早くに手が打てなかったのでしょうね」と一人が言った。周囲の指導者も首肯した。

この問題は重層的だ。
① 「高校野球に依然残るいじめ、暴力体質」の問題
② 「地方高野連、日本高野連の不祥事に対する対応」の問題
③ 「SNSによる拡散、炎上」の問題。

②③についてはまだまだ分からないことが多い。ここでは①に絞って論じたい。

今夏の甲子園に出場した49校の野球部員数上位10校

広陵(広島)164人
市立船橋(千葉)116人
聖光学院(福島)115人
健大高崎(群馬)109人
岡山学芸館(岡山)108人
創成館(長崎)104人
東海大星翔(熊本)103人
関東第一(東東京)98人
中越(新潟)98人
花巻東(岩手)95人

広陵高校が圧倒的に多いが、100人以上の部員数を擁する高校は7校ある。甲子園でのベンチ入り選手数は20人だ。3学年90人超、1学年当たり30人以上の部員数ということは、甲子園はおろか、公式戦の出場機会さえほとんどない部員が大半だということになる。

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