昔といまを比べると、腎臓病の常識は大きく変わりました。たとえば、以前は「腎臓が弱い人は運動なんかしないで安静にしているほうがいい」「腎臓病になったら非常に厳しい食事制限に耐えなくてはならない」「腎臓病はいったん悪くしたらよくならない」といったことが当たり前とされていました。
しかし、これらはすべてウソ。いまは腎臓病の人も適度な運動をするほうがいいとされていますし、食事もちょっとした工夫で普通の人と変わらないものが食べられるようになっています。もちろん「腎臓病はよくならない」というのも誤りで、「腎臓リハビリ」というメソッドを実行すれば、着実に進行を抑えたり病状を回復させたりできるようになっているのです。
この「腎臓リハビリ」のメソッドの提唱者として、従来の腎臓治療の“誤った常識”を大きく変えてきたのが上月正博・東北大学名誉教授。上月教授は、新著『
腎臓大復活』の中で、腎機能を強化して人生をよみがえらせていくためのノウハウを惜しみなく紹介しています。
以下では、その上月教授が「腎臓寿命を延ばすための食事のひと工夫――リン対策編」について解説します。
リンは単純に「減らせばいい」わけではない
近年、慢性腎臓病を進行させて腎臓寿命を縮めてしまう原因として注目されているミネラルがあります。
それが「リン」です。たぶん、聞いたことはあっても、何に含まれていてどんな働きをしているのか、皆目見当がつかないという人が多いのではないでしょうか。
しかし、リンは実は「スーパーやコンビニで売られているほとんどの食べ物に入っている」というくらい多くの食品に含まれているのです。無自覚にリンの多い食品を口にしていると、気づかないうちに腎機能が低下してしまうかもしれません。
そのため、「腎臓リハビリ」でも食事療法の柱の1つとしてリンの過剰摂取を防ぐノウハウを指導しています。今回はそのリン対策の工夫を紹介していきましょう。
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