最大震度7を記録した令和8年熊本地震は、TSMC熊本工場(JASM)やソニーなど国内外の半導体メーカーが集積して急速に発展している地域を直撃した。半導体は経済安全保障の観点からもこの数年で社会の関心を広く集めたこともあり、日本の半導体供給網に対するリスクを再認識させる出来事として注目を浴びている。
10年前と比べて早い復旧
半導体工場の地震リスクへの対応は、建屋の耐震性だけが焦点ではない。クリーンルームの設備構造、製造装置の固定方法、薬液・ガス配管の柔構造化など、多種多様な要素が極めて複雑に絡み合う。
地震から数日が経過した8月3日時点での主要半導体メーカの状況は以下である。

これらの状況からは、2016年の熊本地震と比較すると速やかに復旧が進んでいるように見える。最も注目を集めた工場の1つであるJASMは8月3日に地震前の水準にまで生産が戻った。またTSMCは被災地の復旧・復興支援に向け 、2億5千万円を寄付することも発表したほか、従業員による募金活動を開始した。
大型で非常に強い台風13号(ドルフィン)の影響※も懸念されたが、各機関の予想進路図によれば、熊本には直撃しないとみられる。各工場の今後の復旧作業に大きく影響しないだろう。
復旧作業で心配されるのは製造装置メーカーのサポート体制である。今回の熊本では規模が大きいJASMとソニーを同時に支援する必要に迫られた一方、露光・エッチング・成膜など主要装置メーカーの技術者をはじめとするリソースは限られている。震災直後は複数工場から一斉に点検・調整の依頼が入るため、技術者の派遣調整が復旧スピードに直結する。特に露光装置は専門技術者が少なく、1台の健全性確認にも時間を要するため、どの工場を優先するかが重要となる。
2016年熊本地震との相違点に対策の進化
今回の令和8年熊本地震は、16年の熊本地震と比較して、半導体工場の被害状況に明確な違いが見られる。16年の地震では、ソニー熊本TECでは「クリーンルームから空が見えた」と言われるほど、大きな被害があり、全面復旧まで3か月半を要した。ルネサス川尻工場もウェーハ投入ベースで1カ月以上を要した。
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